よろよろ世論

海外にいて日本のテレビ番組が見られなくても、
インターネットでニュースを知ることはできる。
ところが世論がどうなっているかは、なかなかわからない。

何か大きな出来事が起こったとき、海外にいた経験がある人はいないだろうか。
私はたまたまそんな経験がある。
今回の震災の時ではないけれど。

その出来事について、ニュースを目にすることはできる。
しかし、世論調査の結果として表れるようなことでもないと、
どんな意見を持っている人が多いのかを把握するのは、著しく困難だ。

何かに賛成するのか反対するのか、誰かを攻撃するのか擁護するのか、
世論はどちらかに傾く。
それが何かのきっかけで、一気に逆方向に動くこともある。
その流れは、主にテレビメディア次第。
ネット上で出来事を追うだけでは、なかなかそれがわからない。

だから自分で考えなくてはならない。
その出来事をどう捉え、何を思うのか。
いつも自分で考えていると思うだろうが、実はそうでなかったと気づく。
自分はこう思う、と最終決定することが、なかなかしんどい。

しばらくすると、世論を推測できるネット上の記事が現れ始める。
世論に沿うような意見、みんなはこう言うけど別な見方もあるよという意見、
いずれにしろ、世論を前提とした意見を書いた記事が出てくる。
そこから推測されるものが、自分の考えとあまりにも異なっていて
愕然としたことがある。
自分が間違っているのかと不安にもなる。

だが、それこそが自分の意見なのだ。

世論はマスメディアによって作られているものなのだと思う。
自分で考えているようでも、実際には大きく影響を受けている。
そしてマスメディアは、スポンサーに不利なことは主張しないうえ、
独自性を持たず、お互いの意見を真似しあう。
だから、ある方向に一気に走ってしまうことが多い。

国内にいて、テレビが毎日流してくる意見にさらされても、
自分で考え、自分の意見を持とうと思っている。