無駄は無だ

タバコを吸わない人にとっては、タバコは無駄だ。
喫煙によってかかりやすくなる病気があり、そのために治療にあたるお医者さんがいる。
禁煙をするとなると、そのための医者もいて、薬を作っている人もいる。
分煙をするために、その設備をつくる人もいる。
タバコを作る人だけでなく、いろんな雇用が生まれているのは事実だ。

夏には登山で遭難事故が相次いだが、山に登らない人には理解ができない。
つまり、登山に興味のない私のような人間は、危険な思いをしてまで登らなくてもいいのになどと思ってしまう。
でもやはり、登山具を作る人あり、山小屋を経営する人あり、レスキューする人あり、多くの人びとが関わっている。

震災の時、本当に大切なものは何かというようなことを皆考えただろう。
私は、サバイバルのために必要なものはあまりにも少なく、世の中無駄なことばかりだと思った。そして、その「無駄なこと」が実はとても大切ではないかと感じた。

山に登る意味がわからない人間がいる一方、登山に命をかける人も、そのストーリに勇気づけられる人もいる。
化粧とか、洋服とか、興味のない人にはどうでもいいことだが、それを仕事にしている人もいるし、化粧と好きなファッションで気持ちが明るくなる人もいる。
音楽に関心のない人もいるけれど、音楽を作る人もいれば、音楽を聴いて涙する人も、力を得る人もいる。

やりたいことをやろう。
正しくなくても、理解されなくても、やりたいことをやって、ああ生きてるって思おう。